地域の実情にあった第二次大垣市IT戦略計画を策定するために、本章では地域特性や情報通信基盤の整備動向及び市民の皆様からの意見について整理し、これらをふまえた検討を実施していきます。
[1]立地と構造
大垣市は、岐阜県の西南部に位置し、平成18年3月27日に上石津町と墨俣町と合併し、面積は約2倍の207平方キロメートルになり、全国唯一の二重飛び地を持つ自治体(平成18年10月現在)になりました。地勢的な特徴としては、市域に多くの河川が網目状に流れる水郷地帯で、上石津地域を除くほぼ全域が海抜3~4メートルとなっています。また、上石津地域は標高800メートル前後の山に囲まれた緑豊かな里山地域となっております。
交通面では、JR東海道新幹線、JR東海道本線、名神高速道路又は国道21号線が東西を横断しており、近鉄養老線、樽見鉄道、国道258号線が南北を縦断して基幹交通網を形成しております。
[2]人口・世帯数
大垣市の総人口は岐阜県内2位の166,342人、総世帯数は60,594世帯で、1世帯あたりの人員は約2.74人です。年齢構造からみると、年少人口(14歳以下)が24,307人、生産年齢人口(15~64歳)が108,879人、老年人口(65歳以上)が33,156人になっています。今後、核家族化と高齢化が進展していくと予測されています(平成18年3月末現在)。
また、外国人登録人口は、2002年より毎年増加傾向にあり、全人口の4.1%にあたる6,910人になっています。特に、ブラジル人の割合が外国人登録人口の6割以上を占めています(平成17年3月末現在)。
[1]産業
古くから製造業が盛んで事業所が多くあり、県内上位の製造出荷額を誇っております。また、市内在住者のうち市内で就労している就労者率も65.9%と県平均の61.7%を上回っています。産業構造としては、平成12年の産業別就業人口の割合は、第一次産業が約2.2%、第二次産業が約39.5%、第三次産業が約58.3%であり、第三次産業の占める割合が他の産業と比較して高くなっています(平成12年国勢調査)。地域イメージの向上や産業の活性化を図るために「大垣ブランド」を制定しており、地域産業の振興に努めています。
また、IT分野においては、情報産業拠点であるソフトピアジャパンがあり、産学官での共同研究を促進するなど新たな分野での研究・発掘に努め、雇用の場を創出しています。なお、ソフトピアジャパンは、スイートバレー・情場形成特区の一つとして構造改革特区に認定されています。
[2]地域交流
生涯学習拠点としては、スイトピアセンターを中心に7つの公民館と15の地区センターなどの学習設備を整備するとともに大学などとの連携を強化し、市民の多様かつ高度なニーズに対応した生涯学習体制の充実に努めています。
また、市民活動の拠点施設としては、まちづくり市民活動支援センター(まちづくりプラザ)を設置するとともに、市に登録した市民活動団体を対象に助成措置をとっています。
さらに、地域情報化の拠点としては、IT関連施設である情報工房を設置しており、パソコン研修などの各種人材育成や市民生活に関連の深い情報の受発信を実施し、市民の情報リテラシーの向上に努めています。
[3]安心・安全
森林の保全や治山・治水対策、消防施設などの重点的な整備と共に地域ぐるみの防災体制の強化に努めています。また、犯罪などを未然に防止する「さわやかパトロール」、「さわやかみまもりEye」や「さわやかみまもりネット」を実施し、市民が安全で安心して暮らせる地域社会づくりを推進しています。
[4]文化
古くから東西交通の要衝の地であり、壬申の乱、承久の乱、関ヶ原の戦いなどの天下分け目の戦いの舞台となりました。また、俳聖・松尾芭蕉の「奥の細道」のむすびの地としても知られ、市内には遺跡・史跡が数多くあり、歴史資産の豊富な地域となっています。歴史的遺産・文化財などの積極的な調査、保存、整備を進めることにより、市民の文化意識の向上に努めています。
[5]教育
体験学習・総合学習などを通じた地域社会への参加など、保育園・幼稚園・学校、家庭、地域が連携し、魅力ある学校づくりの支援など幼児・学校教育の充実に努めています。また、市内には22校の小学校と10校の中学校があり、すべての小中学校で普通教室の校内LANの整備が完了しております(校内LAN整備率:100%)。これは全国平均の50.6%、県平均の89.6%を大きく上回る結果となっております。
■ポイント
○核家族化と高齢化の進展
○高い地元での就労者率
○県内有数の製造業集積地
○IT関連産業の集積地
○多様な地域の活動拠点
○豊富な歴史資産
民間電気通信事業者のブロードバンドサービスの提供状況は、2006年9月末現在で大垣市のほぼ全域でサービスが提供される状況になっています(図6参照)。一方、大垣市内のインターネット環境におけるブロードバンド利用率 (59.8%)は、全国平均(55.2%)に比べ高くなっております。また、大垣市内のブロードバンドサービスの世帯普及率(59.9%)は、全国平均 (65.0%)に比べ低くなっております。
なお、上石津地域については、補助金によりADSLサービスが提供されています。

(出典:総務省東海総合通信局ホームページ)
図6 岐阜県内のブロードバンドサービス提供図
大垣市内の移動通信サービスの世帯普及率(91.1%)は、全国平均(90.0%)に比べ高くなっています。
携帯電話サービスは、第三世代携帯電話の普及が進んでおり、さらに2006年4月のワンセグ放送の開始、2006年10月のモバイルナンバーポータビリティ導入や2007年からはじまる新規事業者の参入などにより利用者の利便性の向上などが期待されています。一方で、大垣市の一部のエリアで不感地域が存在しており、不感地域の解消に向けた検討が必要とされます。
■ポイント
○インターネット利用におけるブロードバンド化の進展
○携帯電話の不感地域の解消
今後の大垣市のIT化に向け、市民の皆様が必要とされる情報サービスなどのニーズを把握し、効率的かつ効果的にIT化を推進していくために、市民の皆様に対してアンケート調査を実施しました。
| 実施時期 | 平成18年10月3日(火)~平成18年10月20日(金) |
|---|---|
| 対象数 | 2,000名 |
| 回答数 | 871名(回答率43.5%) |
| 調査概要 | 満18歳以上の市民の中から年齢層別ごとに無作為で2,000名を抽出し、アンケートを実施する(無記名)。 |
[1]行政情報の入手方法について
市民の皆様が行政情報を入手する手段としては、広報紙741人(85.5%)、回覧板507人(58.5%)や新聞416人(48.0%)などの行政などからの情報提供型の媒体が上位を占めており、ホームページ103人(11.9%)やメールマガジン25人(2.9%)といった自らがITを利用して情報を入手していく情報選択型の媒体は、それほど利用されていないことがうかがわれます(表10参照)。また、大垣市から提供される情報案内の満足度については、「満足している」と回答された方が65%を占めており、多くの市民の皆様に満足していただいていることがうかがわれます。
表10 大垣市の行政情報の入手手段について(複数回答)

一方で、満足されていない方の理由としては、「知りたい情報が不足している」、「情報の中身に魅力がない」などの提供されている情報コンテンツそのものに対する意見が多く、行政サービスにおける提供コンテンツの多様化及び高度化が必要とされます。(表11参照)。
表11 大垣市の情報案内に対する満足度と満足しない理由

[2]家庭におけるIT環境と利活用について
市民の家庭におけるIT機器保有率は、パソコンの保有率が79.8%、携帯電話・PHS保有率が91.1%と全国平均(パソコン保有率:80.5%、携帯電話・PHS保有率:90.0%)とほぼ同等になっております。
また、大垣市内の家庭におけるインターネットの世帯普及率は73.6%(大垣市の人口〔166,342人:平成18年3月末〕に換算すると自宅にインターネット環境が整備されている人は約12.2万人と推定)であり、平成14年3月に策定された「大垣市IT戦略計画」の中の目標であった「10万人ネットワーク市民の創出」は達成されていると言えます。しかし、大垣市内の家庭におけるインターネットの世帯普及率(73.6%)は、全国平均(87.0%) を下回る結果となっております。インターネット環境未整備の方の多くは、利用しない理由として「興味がない・必要性を感じない(52.8%)」、「操作方法が難しい(33.6%)」という意見をあげており、ITを活用したライフスタイルの提示、興味が湧くような情報コンテンツの整備や情報リテラシーを向上させるためのIT研修などの実施が必要とされます。
[3]行政窓口の利用状況について
市役所などの行政窓口の利用については、大半の方が「利用したことがある(84%)」と回答しており、行政窓口を利用する用件としては、ほとんどが「各種証明書の発行依頼649人(94.2%)」であり、「各種届出347人(50.4%)」、「各種相談189人(27.4%)」、「各種申請131人 (19.0%)」と続いております。また、行政窓口を利用する頻度としては、「年に1回程度(38%)」、「半年に1回程度(28%)」、「3ヶ月に1回程度(14%)」と年間の利用が数回程度の方が8割以上を占めています(表12,表13参照)。
表12 市役所などの行政窓口の利用状況

表13 行政窓口を利用する用件(複数回答)

[4]大垣市の情報サービスに対する意見や要望について
大垣市のIT化の推進については、推進を肯定する意見が69.0%、推進を否定する意見が8.1%となっており、多くの市民の皆様から大垣市のIT化に関するご理解をいただいていると考えられます。今後、より利便性の高い情報サービスを提供し、市民満足度の向上を図っていきたいと考えており、市民の皆様からの意見や要望を以下に記載します。
ア)行政情報の入手方法について
今後望まれる行政情報の入手方法としては、広報紙622人(71.7%)、回覧板299人(34.5%)、新聞254人(29.3%)などの情報提供型の媒体が現状の入手方法と同じく上位を占めております。
しかし、メールマガジン、ホームページといったITを利用した方法や市役所など窓口での案内、身近な公共施設の情報コーナー、電話問い合わせといった職員とのコミュニケーションを行う方法による情報選択型のサービスの要望が情報提供型サービスより伸びており、これらのサービスの充実が必要とされます(表14 参照)。
表14 今後望まれる行政情報の入手方法(複数回答)

イ)必要とされる行政情報について
市民の皆様が必要とされる大垣市の情報としては、半数以上の方が「健康・福祉・医療情報547人(63.1%)」、「防災・気象・災害時の情報498人 (57.4%)」などのいざというときに利用される情報をあげており、続いて「各種申請・行政手続き情報418人(48.2%)」、「高齢者の暮らしに関する情報406人(46.8%)」、「生活情報・相談情報316人(36.5%)」、「防犯情報283人(32.6%)」などの日常生活で利用される情報も多くの方から必要とされ、これらの情報コンテンツの充実が必要とされます(表15参照)。
また、年齢層別に見ると、30歳代の回答者から「子育て・育児情報」や「学校教育・生涯学習情報」の要望が高いなど特定の年代で要望の高くなる情報も見受けられます。そのため、市民のライフスタイルに合わせた情報の提供も必要とされます。
表15 必要とされる大垣市の情報コンテンツ(複数回答)

ウ)要望される情報サービスについて
具体的に求められている情報サービスとしては、約半数の方が「災害時などにおいて、避難者情報の登録や避難場所の検索を行うサービス434人 (50.1%)」、「高齢者・障害者の緊急時通報サービス433人(49.9%)」などのいざというときに利用される情報や「自動交付機による休日、時間外での住民票や印鑑登録証明書の発行サービス434人(50.1%)」、「自宅や公民館など身近な所で市役所とのやり取り(手続き)ができる環境整備 394人(45.4%)」などの時間や場所を気にせず行政窓口を利用できるサービスへの要望をあげており、これらの要望への対応手段の一つとして、ITの活用を考える必要があります(表16参照)。
一方、市役所などの行政窓口の利用が「年数回程度」の人が8割を占めている現状を考えると、費用対効果にも配慮し、導入が効果的なサービスについて検討する必要もあります。
表16 今後望まれる情報サービス

■ポイント
○提供コンテンツの多様化及び高度化の必要性
○家庭でのインターネット利用の促進
○ITを活用した生活スタイルの提示
○「健康・医療・福祉情報」、「防災・気象・災害時の情報」の充実
○緊急時の行政サービスへの要望
○時間や場所を気にしない行政サービスへの要望
大垣市のIT動向調査より導かれたポイントより、4 つの基本方針ごとに課題を抽出します。
■基本方針ごとの課題
◆ITを活用できる人材の育成や安心して利用できる環境の整備(e-シチズン)
◆行政分野におけるIT活用(e-ガバメント)
◆コミュニティ分野におけるIT活用(e-コミュニティ)
◆産業分野におけるIT活用(e-インダストリ)