特集/障がいへの理解を深める <障害者週間:12月3日~9日> あふれる思いを活動に込めて (令和元年12月1日号)
- [2019年12月1日]
- ページ番号 47778
ソーシャルサイトへのリンクは別ウィンドウで開きます
12月3日から9日までは、「障害者週間」です。障がいのある人もない人も、共に支えあって暮らすためには、市民一人ひとりが障がいについて正しく理解することが大切です。
今回の特集では、得意な分野で才能を発揮し、自分の思いを表現する子どもたちの姿を紹介します。
≪自分の思いや感情をアートで表現≫
荻下 丈さん(14歳)

荻下丈さんと作品「マーメイド」
平成16年大垣市生まれ。重度の発達障がいがある中学3年生。丈さんがペンで描くアート作品は、さまざまな展覧会で多くの人に感動を与えます。
【受賞歴】
・平成30年 第1回ぎふ美術展自由表現部門[優秀賞]、洋画部門[入選]
・令和元年 第2回同展洋画部門[入選]
ペンを握ると一筆書きのように絵を描く小さなアーティスト。展覧会を訪れる人の心を奪う絵を描くのが、荻下丈さんです。
◆アートとの出会い
幼少期の丈さんは、自分の気持ちを伝えることが苦手でパニックを起こすこともあり、幼稚園就園前に「自閉的傾向の広汎性発達障害」と診断されました。7歳頃になると、ペンで絵を描くことに興味を持ち、自宅の壁や床一面に、大好きな魚の絵を描き始めました。その後、恐竜、昆虫、動物、人物と描く対象が変化していき、描き始めてから少しずつ心の落ち着きが見られるようになりました。

絵を描く丈さんの様子
◆表現の変化とともに成長する心
人物を描き始める頃になると、自分の周りの人の行動や会話、気持ちに興味がでてきた丈さん。最初は、笑顔を描くことが多かったのが、次第に驚いた顔、泣いた顔、怒った顔などを描くようになり、喜怒哀楽の細かい表現ができるようになりました。
ある時、母・美保さんが落ち込んで泣いていると、それを見た丈さんは、泣いている人間を描き、その絵の上にバツ印をつけ美保さんに手渡しました。これはお母さんへの「泣かないで」というメッセージ。自分の思いや感情をうまく言葉で伝えることが苦手な丈さんですが、ペンに自分の気持ちを込めて表現できるように成長していきました。
◆アートを通じて広がる世界
最近では、丈さんはタブレットを使って色彩豊かな絵を描くようになりました。また、海外にも興味を持ち始め、「アメリカに行ってみたい」という気持ちを国旗などで表現しています。アートを通じて、丈さんの世界は無限に広がりをみせています。

丈さんの作品をプリントしたグッズ

荻下丈さんの母 荻下美保さん
アートとの出会いを通して、子どもの心の成長を感じられることに喜びを感じています。
作品を見た人から、「作品にストーリーがあっておもしろい」、「色使いが個性的ですばらしい」などのコメントをもらい、嬉しく思います。
皆さんに、障がいについて少しでも知ってもらえるよう、これからも子どもの活動や作品を発信していきます。
≪ありのままの自分を ダンスで表現≫
ONES(ワンズ)

ONESのメンバーとSUGA先生(後列左端)
平成30年4月に結成。メンバーは、身体・知的・情緒・視覚・聴覚など、さまざまな障がいのある子ども11人とその家族。地域のイベントにも数多く出演し、元気いっぱいに披露するダンスは、見る人を笑顔にします。
練習会場のドアを開けると、そこは楽しく踊って遊べる空間。笑顔いっぱいで踊っているのがダンスサークル「ONES」です。
◆やりたい事は諦めないでチャレンジ
ONES代表の兒玉貴栄さんには、ダウン症の娘・茜音さんがおられ、ダンスが大好きな子どものために仲間や家族が一緒に楽しめるダンスチームを作りたいと考えていました。そこで、以前から交流のあったダンススクールのオーナーであるSUGA先生に相談したところ、快く講師を引き受けてもらえました。「障がいの有無に関わらず、みんなでダンスを一緒に楽しみたい気持ちは同じです」と語るSUGA先生。平成30年4月から、ONESの活動がスタートしました。

発表に向けてダンス練習
練習は、障がいのある子どもたちの体調や気分に応じて、それぞれが踊りたいと感じたときに参加することができます。「ダンスが楽しいと思える雰囲気作りと温かい声かけが大事」と話す兒玉さん。最初は消極的な子も、終盤には自分から練習に参加していました。
昨年、市制100周年記念事業として、大垣駅通りで行われた東京ディズニーパレードでは、ONESから初の障がい児キッズダンサーとして4人が参加。学校の友達や地域の人に「パレードに出れてすごいね」と声をかけられ、大勢の人前で踊った経験や自分を認めてもらえた喜びで今後の自信にもつながりました。
◆信頼できる仲間と共に
子どもたちは、安心できる居場所があり、信頼する先生や仲間に出会えたことで、ありのままの自分を表現できるようになりました。今後もONESは、仲間と共に、地域のイベントで自分たちらしいダンスを披露します。

メンバーの絆を深める交流タイム
【Voice】

ONES 代表 兒玉貴栄さん
ONESは、子どもも親もお互いを認め合い、一人ひとりの成長をみんなで喜ぶ事ができる自慢のチームです。夢は、チームを継続させ、この仲間と共にONES単独ライブを開催することです。
障がいの特性を知っていただき、ほんの少しの配慮を地域の皆さまと一緒に工夫していく事で、障がいのある人の世界は大きく広がり、共に生きる社会に近づくと信じています。